TOMOKOです。昨年の春にやっと、小さな家が八ヶ岳に建ちました。いずれ終の棲家になる予定なのですが、まだ完全に移住することができず、当分は横浜の家と行ったり来たりの暮らしです。
だからこそ、時々訪れる八ヶ岳を新鮮な気持ちで見られるのかもしれないと思い、八ヶ岳便りを始めることにしました。
八ヶ岳は寒い!というイメージを誰もが持っているようなのですが、それは本当です。寒すぎて雪が降らないというのもどうやら事実らしいのですが、そのめったに降らない雪に今回は遭遇することができ、ラッキーでした。
前日の夕方から夜にかけて降り続いた雪は、深夜には止んでいました。すると今度は満点の星が輝き始め、その圧倒的な光景に言葉を失いました。ここは人工的な明かりの全くない場所ですから、星そのものの煌きが恐いくらい鮮明なのです。
その時、この地球の上にいるのは私一人だけ、というより自分が地球そのものになったような気がしたのです。そして私は宇宙と繋がっていました。時間も思考も停止し、説明のできない不思議な感覚に包まれていました。幸せでした。ただただ幸せでした。ああ、こんなに簡単に人は幸せになれるのだと私は驚き、いやそうではない、幸せであることに、今やっと気付けたのだと思いなおしました。
明けがた、富士山の向こう側が茜色に染まり始めました。深い藍色の空には新月に近い細い月。そのすぐそばにひときわ明るい金星。刻一刻と変わってゆく空の色。私は息を止めてカメラのシャッターを押し続けました。そして、あっという間に空は明るみ始め、家々の屋根やカラマツの枝に積もった雪に、透明な金色の光を投げかけてゆきます。それは息を呑むような美しい光景でした。
私はとうとうカメラを持って、外に飛び出しました。すると私よりも先に歩いた足跡が・・・。そう、鹿の足跡です。それは坂を上り、やがて林の中に消えてゆきました。ここ八ヶ岳では農作物に被害を与える害獣とされている鹿ですが、こんな寒い雪の日に、鹿は一体どこで過ごしているのだろう、とつい気になってしまうのでした。
さて、この地方の家は寒冷地仕様といって、寒さ対策は万全です。むしろ横浜の家よりも暖かく、過ごしやすいのには驚きました。南側に大きくとった窓からは太陽の光がたっぷりと入り、日中は暖房もいりません。まるで温室のような暖かさです。冬の間は庭仕事もないので、ゆっくりここで読書を楽しみたいと思います。
さあ、雪景色を眺めながら朝のコーヒーを飲みましょうか。
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